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何故、「させていただきます」というような表現が
定着してしまったのでしょうか
.
それは、いまだにこの国の < 社会 > では、
責任の所在がはっきりしない communication のほうが
好まれるからです
.
つまり、 < わたし > という主語をはっきりさせないほうが
「カドがたたない」のでしょう
.
しかし、『責任』は『決定権』とは不可分であることは
よく考えればわかることです
.
例えば、ある組織で、ある特定の人間に
『責任』を持たせる場合、
同時に『決定権』を持たせないと仕事にならないし、
その組織内の communication すら
機能しなくなるのは自明のことです
.
つまり責任者というのは決定権保持者のことを
指すということですし、
すすんで risk を負うことになります
.
それに当然のことですが、『決定権』を持つ人物は
突出します .
人間的に変わっているから注目されるとか、
偉いから目立つと言うわけでもなくて、
その人物の『決定権』がその人物をグループの中で
特別な存在にする、ただそれだけです
.
しかし、この国の < 社会 > は、
どういうわけか組織やグループの中で個人が
突出することを嫌います
.
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よく報道などで、会社の不祥事の news の際、
経営者に当たる人たちが
「ご迷惑をおかけしました」と頭を下げたり、
マスコミや被害を受けておらず、
何の関係もない人たちが「責任者を出せ」と
怒鳴りつけたりする景色を見ることと思います
.
この場合いつも思うのですが、
そもそも「誰」に「迷惑」をかけたのでしょうか?
また、そもそもその「迷惑」というのは
どんなことなのでしょうか?
そして、「誰」に謝罪しなければいけないのでしょうか?
つまり、この景色は < catharsis > しか生み出さないし、
その謝罪を見ればその事件に関係のない
多くの人びとはそれで満足し、
その事件や被害者のことなど、
いつのまにか『過去のこと』として忘れてしまうでしょう
.
まず「誰だ、誰だ」とある意味「犯人探し」を優先させるよりも、
「何故、そのような不祥事が起こったのか」
言い換えれば、
「なぜ失敗をしたのか」
「なぜその選択をしたのか」
ということを検証し、そして、
「二度とそのようなことを起こさないようにする」
「どのような『再発防止』の案があるのか」
という process のほうがはるかに重要だと考えます
.
つまり、 < 誰か > ではなく < 何故か > ということのほうが
より重要であるということです
.
たとえ < 誰か > を探したところで、
「再発防止」にはまったく役に立たないでしょうし、
その後被害者への「補償」についても厳密ではありません
.
何も関係の人たちが「誰だ」「誰だ」と犯人を捜したり、
誹謗中傷したり、責任を擦り付けたりするということが
多く見られますが、
それは「自分には関係ないこと」として切り離し、
その立場と「入れ替え可能」という context は
その人たちの中にはおそらく存在しないのでしょう
.
これもあまり興味のないことですが .
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この『入れ替え可能』な < 現代社会 > で
生きていくうえで「優先順位を決める」ということは、
重要なことであると考えます
.
例えば、近代社会と違い得られる情報の量は無数に存在し、
また、今まで < わたし >(=
自分 ) を支えていた base が
『入れ替え可能』ということである意味機能しなくなり、
その base を維持することは容易ではなくなっています
.
また macro で見ても、
< 社会 > を支えていたはずの『中間集団』
というものは、
『多様性』に変化して、
< わたし > が < 社会 > に commitment することも
近代社会のように容易ではありません
.
(中略)
ヒノは心臓が口から飛び出しそうになり
喉がカラカラに渇いた。
だが、不思議なことに作業のスピードは落ちなかった。
恐怖が和らいだわけではない。ヒノは今でも恐かった。
だが、恐怖を自覚するのと、
気づかないふりをしてごまかすのはでは
対処の方法が違う。
恐怖とその対象を認めなければ、
恐怖に対応できないのだ。
ヒノは小便を漏らしそうなくらい恐いが、
コリョが現れたときにどう対処するかわかっている。
不安や恐怖があっても、
それを自覚してどう対応するか自分で決めることができたら、
とりあえず立ち向かっていけるのだ。
(「半島を出よ(下)」村上龍著 P.392)
つまり全ての面において「優先順位を決める」ということは
『有利』であるということです
.
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では、一体「誰」に「させて」「いただく」のでしょうか .
それは、実体のない『記号』としての、
または神話としての
「集団」=「世間」という束縛、
すなわち大小さまざまな『共同体』のことでしょう
.
おそらくこの国では昔から、
外からは見えない特別な『共同体』があって、
その中では前述のように < 流動性の低い社会 > に
生きていると錯覚して、『価値観の変動』を感じず、
実はそれが個人や社会の国際化を拒んでいると言えます
.
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これは <わたし>の職業(肩書)についても
同じことがいえるのではないかと思われます.
この国では、その「誰か」がいる集団、
いわゆる「社会」に認めてもらわないと、
<わたし>の職業は語れない.
そのためにはまず、「会社」という一つの
『庇護社会』に入らないと「一人前」とは呼ばれず、
自分は risk を負わずして、『自己決定』で進めている人を
無意識に見下すという、
<近代社会>の scheme は残念ながら、
いまだ存在しているようです.
また、『生き方』や『考え方』を
<わたし>(=自分)のことは自分で決める、
という『自己決定、自己責任の原則』に基づいて
何かをやろうとすると、ものすごく cost が掛かかるし、
その実体のない「集団」に無意識に
縛られていくことになるようです.
このようなこの国の frame では本当の意味での
『責任』は存在しえないと考えています.
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詩人 T.S
Eliot のいう「うつろな人間」たちが
多く生きているこの空疎な < 現代社会 > において、
そのかかる cost を省みず、
『正確な communication 』を行い、
『責任: responsibility 』を取っていくことは、
非常に『有利』に働いていくと考えています
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>> #001<<
-------------< resource >-----------
「 e メールの達人になる
」
村上龍 (著)
集英社
ISBN: 4087201198
「半島を出よ」
(下)
村上龍 (著)
幻冬舎
ISBN: 4344007603
「ハバナ・モード
Men
are expendable (Vol.8) 」
村上龍 (著)
KK ベストセラーズ
ISBN:
4584180342
「対話のレッスン」
平田オリザ
(著)
小学館
ISBN: 409387350X
「
対話の回路−小熊英二対談集
」
小熊英二
(著)
新曜社
ISBN: 478850958X
「
単一民族神話の起源
―「日本人」の自画像の系譜
」
小熊英二 (著)
新曜社
ISBN:
4788505282
「いま、歴史問題に
どう取り組むのか」より
「第三章 日本の
戦後補償問題解決への提言」
佐藤建生
(著)
岩波書店
ISBN:
4000221116
「日本はなぜ敗れるのか−敗因
21 条」
山本七平
(著)
角川書店
ISBN:
4047041572
「健全な肉体に狂気は宿る
−生きづらさの正体」
内田樹・春日武彦
(著)
角川書店
ISBN: 4047100064
「弁証法はどういう科学か」
三浦つとむ
(著)
講談社現代新書
ISBN: 4061155598
「限界の思考
空虚な時代を生き抜くための社会学」
宮台 真司・北田 暁大(著)
双風舎
ISBN: 490246506X
「海辺のカフカ」
村上春樹
(著)
新潮社
ISBN: 4103534133
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尚、抜粋した文章、図の著作権は言うまでもなく
原本著作者にあります.
また、本文中の著作者のテキストの改行は
筆者が行いました.
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白橋 哲 拝
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